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「残像訓練」シミュレーション・トレーニング2



みなさん、こんにちは。東京はここ連日晴れている日が続いていますが、湿気が高く、夕方に雨が降ったりします。おそらく、来週くらいか、梅雨明けになり、今年も暑い夏がやってくると思います。


ところで、ご存知の方も多いと思いますが、先週、都内のある有名進学女子校で、朝、女子生徒が建物五階の窓から飛び降りて亡くなったという事件がありました。


警察の調査では、事件か自殺かわからないとのことでした。しかし、夕方の掃除の時間に生徒が窓を拭いていて足を滑らしたとは思えません。ネット上では、自殺ではないか、との声が多いようでした。


日本だけでなく、海外でも、ストレスフルな学校生活に耐えきれず、イジメ、ハラスメント、試験で失敗したなどの理由で自ら命を絶ってしまう人がいます。


一般的に、学校(大学も含めて)という場所は、単に生徒に知識を提供するだけはなく、生徒間で競争させて能力の序列をつくる場所でもあります。その序列にしたがって上級の学校に生徒を分配し、最終学歴のあと、人材を社会の各階層に放り出す、といった社会的装置の役割があります。


私も10代や20代の頃、そうした学校社会のストレスや、もっといえば「隠れた暴力性」を感じていました。さらに、人間関係や成績のことで行きづまってしまうと、「自分の人生はもう終わりだ」「もう死にたい」とまで思ってしまいます。


でも、学校を卒業して何年、十数年もたつと、学校生活での行きづまりなどちっぽけなことだと思えてきます。


今回、亡くなった女子生徒は可哀想で残念ですが、今、学校生活で苦しんでいる人たちは、一生このような苦しみが続くわけがない、と思ってください。死ぬ勇気を出せるのなら現状打破の策を出すべきです。


彼女のご冥福をお祈り申し上げます。


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さて、前置きが長くなってしまいましたが、今回もNDM(現場主義意思決定)認知トレーニングの一部である「シミュレーション・トレーニング」についてお話ししたいと思います。


前回もお話ししましたが、物事の状況を変化をありありと想像(イメージ)するというシミュレーション能力というのは、人間ならではのものです。現在の人工知能(AI)の開発レベルでは、到底、AIに人間のエキスパートの真似をさせることができません。


さらに重要な事実として、スポーツ、医療、芸術など、さまざまな分野のエキスパートや達人といわれる人たちは、直観を働かせて創造性を発揮するとき、このシミュレーション能力をフル活用しています。


本来、こうしたシミュレーション能力というのは、日々の練習や訓練、経験から自然と養われていくものです。しかし、私たちNDM研究者たちは、直観を中心に人間の能力開発方法を研究し、一生懸命に開発しています。そのトレーニング方法も、労力やお金、時間がかかってしまうのでは本末転倒です。


今回、みなさんにご紹介できる一番簡単な訓練方法は「残像訓練」というものです。動画のようなシミュレーションができる以前に、やはり正確なイメージ能力の養成がカギとなります。


まず、比較的単純な写真などを数秒から十数秒眺めて目を閉じて、眺めていたものをありありと想起してみます。その際、眺めたものの細部まで正確に思い出してみようとします。


たとえば、みなさんが上の写真を数秒眺めて目を閉じたとします。


お盆に桃が入っていますが、いくつ入っていましたか?


それぞれの配置を思い出すことができますか?


それぞれ、どんな色でしたか?


などなど、自問自答して思い出してみます。もし答えられなかったら、もう一度目を開いて確認してみます。そのあと、もう一度眺めたものを想起してみます。


これを繰り返すことで、観察力、想起力、想像力(イメージ能力)が飛躍的に発達します。


シミュレーション(動画)とは、断片的なイメージ(写真)を連続させたものですから、まずは正確なイメージができなくてはならないのです。そのためには、観察力も高めなくてはならないのです。


ぜひ、自分なりに挑戦してみてください。

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