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過剰なテクノロジーの導入で、あなたの「心の声」は守られるか?


教育コンサルという仕事柄、さまざまな年齢や職業の方々に出会う。

多くは中小・零細企業の経営者や幹部、個人事業主、スポーツや職人的なスキルが要求される職業人たちが多い(鍼灸師、クリエイター、IT技術者、出版社の編集者など)。

そうした職業の方々は、職務で必要なスキルを向上させるだけでなく、新しいサービスや商品を生み出さなくてはならない場合がほとんどだ。

また、組織の長であるのならば、従業員や部下から斬新的なアイディアを聴き出したり、マンネリ化した組織内の雰囲気に活を入れて刺激を与えなくてはならないだろう。

実際、成功しているビジネス・リーダーや、団体のトップとされる人たちの多くは、自分の心の奥から生じる「声」にしたがって行動しようとする。

また、彼・彼女らは、他人の表情、外見、行動の奥に隠されている「心のあり方」を探ろうとする。

アップル社の故スティーブ・ジョブス氏、マイクロソフト社のビル・ゲイツ氏、グーグル社のラリー・ペイジ氏など、世界のテクノロジー分野を牽引するグローバル企業の創業者たちは、誰もが創造性の原動力とは何かをつねに自問自答している。

だから、彼らが記した著作を読んだり、スピーチに耳を傾けると、必ずといっていいほど、'Intuition(直観、直感)'という言葉が出てくる。

「どうやって自分の心に刺激を与えて、直観をはたらかせて新しいアイディアを生み出せるか」というテーマは、世界的な企業の創業者や会長だけでなく、欧米の中小企業の経営者や個人事業主の間でいつも話題になっており、セミナーなどがよく開催される。

ひるがえって、日本はというと、「どうやって新しいアプリやクラウドなどのソフトウェアを開発し、活用することで、『働き方改革』をするか」というテーマのITセミナーやイベントが毎月のように開催されている(私もゲストとしてよく招かれる)。

ここでの「働き方改革」とは、テクノロジーの導入によって、家内制手工業にも似たアナログ的な作業を削減し、単位時間あたりの労働生産性をあげることを意味する。

そうすることで、ムダな作業やサービス残業を減らすことをめざす改革のことである。

たしかにアメリカ人のエンジニアや企業経営者にしても、日本人と同様に機械やテクノロジーに対する期待感は大きい。

しかし、彼らはテクノロジーはあくまでも人間の判断と意思決定のサブ的な役割にすぎないことをよく認知している。

さらに、(逆説的に思えるだろうが)、新しいテクノロジーがどんどん導入されるほど、いたずらに情報量が倍増し、作業が複雑化してしまうことも知っている。

ある意味、日本は、欧米以上にテクノロジーが職場のオフィスに導入されている。

だからというわけではないが、皮肉にもサービス残業から抜けれない人が多いのである。

つまり、なんでもかんでも機械化にすればよい、というわけではないのである。

こうした意見が、日本社会に浸透するには、まだまだ時間がかかりそうである。

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