追悼「ジュディス・オラサヌ博士との思い出」


みなさん、こんにちは。2月に入り、受験シーズン真っ只中となりました。しかし、相変わらず新型コロナうウィルスが猛威を振るい、感染者が続出しております。受験生やその関係者だけでなく、みなさんもお体にご自愛ください。


さて、今回はみなさんに残念なお知らせをしなくてはなりません。私が所属している現場主義意思決定学会(Naturalistic Decision-Making Association, NDMA)から、本日、ジュディス・オラサヌ博士が逝去されたとのお知らせを受けました(写真右)。


1980年代後半、オラサヌ博士は、ゲイリー・クライン博士とともに現場主義意思決定(NDM)理論を構築し、提唱した認知心理学者であります。彼女は、長年におよび宇宙開発で知られるNASAの心理学者として研究を続けておられました。とくに、人間と機械の関係、機械操縦における判断ミスなど、NDMははじめ、認知心理学の分野に多大なる貢献をされてきました。


私もアメリカの大学院でNDMを学んだとき、NDM創始者のクライン博士とともに、ぜひともオラサヌ博士にお会いしたい、直接学びたいと願っておりました。幸いにも、2019年サンフランシスコで開催された第14回NDM大会でお会いすることができました。


オラサヌ博士は、「NDMの歴史と未来」というテーマで記念講演されました。私も講演を拝聴して驚いたことでしたが、1980年代、オラサヌ博士がクライン博士たちとNDMを提唱したとき、欧米の学術界でまったく相手にされずに無視されたり、批判されたり、バカにされたりと、辛い時期を過ごされたといいます。


しかし、それから約30年もの年月が経ち、NDMは世界の学術界で認知され、次世代の学者や後継者が育ってきました。オラサヌ博士は、次の世代の学者や学生たちにNDM研究を託すと述べられました。こうしたお話しに私は会場で血沸き肉踊り、心が鼓舞されました。


講演の後、私はオラサヌ博士の元に近寄り、挨拶をしました。彼女は、日本にNDM研究者がいるとは夢にも思われなかったようで、また、私が日本人唯一のNDM研究者ということで、心から激励してくださりました。


初めてお会いしたのに、なぜか親族と再会したような不思議な感じがしたのをよく覚えています。私にとって、オラサヌ博士は「アメリカの母親」のような方でした。


私としては、オラサヌ博士から直接NDMを学びたかった、もっといろいろなお話を伺いたかったというのが正直なところです。しかし、オラサヌ博士が生涯をかけて遺された知識、理論、思考、発想、信念、そして魂を私は継承します。


ジュディス・オラサヌ博士のご冥福を心よりお祈り申し上げます。