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ビジネス英会話と直観の「特別な関係」


みなさん、こんにちは。今年もはやいもので、元旦を迎えるまで一カ月を切りました。

ちなみに、「光陰矢のごとし」を英語で、Time flies. といいます。つまり、英語圏の人々は「時間が飛ぶ」というのです。

時間の経過が早く感じるのは世界共通なのでしょうか。

さて、先日、「ある大手通信販売企業の日本人社員が、英語での電話を受け、うっかりだまされて機密情報を漏えいしてしまった」というニュースがありました。

みなさんもまだ記憶に新しいと思います。

その企業は、社長の方針で社内公用語を英語にし、社員に英語力を示す資格試験の受験を推進したことでかつて話題になりました(一定の点数に届かなかった場合はクビになるというウワサもあった)。

私は、このニュースを知ったとき、日本の英語(とくにビジネス英会話)教育の盲点を象徴するアクシデントだと思いました。

それについて、二点ほど指摘したいと思います。

1. 「試験万能主義」に対する疑問

たしかにその人の英語力は、ある程度、資格試験で評価できます。

しかし、実際のビジネスの現場では、資格試験、まして学校の教室の中での「人工的な」英語を聴いたり、読むことが極めて少ない。

たとえば、英検一級やTOEIC満点を目指すなら、早口で、トリッキーな内容のリスニングを理解できなくてはならない。

実際の現場では、非ネイティブの訛りがあったり、場合によっては文法や語法上の誤りのある英語を聴くことになることもある。そういう状況で商談を成立させなくてはならないこともあるでしょう。

リーディングにしても、多くの受験者の実際の業務からかけ離れた内容の英文を読むことになります。

忙しいビジネスパーソンや職業人にとって、今、自分が仕事で必要な英文書類や専門書を読めるようになった方が得だと思いませんか?

また、資格試験だけにかぎらず、日本の英語教育の最大の弱点は、ライティングとスピーキングの訓練があまりにも貧弱、というよりも「ないに等しい」というべきでしょう。

TOEICは、基本的にリスニングとリーディングで評価されます。ライティングやスピーキングの試験もありますが、受験を勧める(または義務付ける)企業も少なく、認知度も今一つでしょう。

英検一級は、実際ビジネス現場でありえない速さで、大量かつトリッキーな英語を聴き、選択式解答のものです。

二次試験のスピーキングは二分間ネイティブと話して、5問くらいの質疑応答だけでです。

ライティングは一次のみで、A4一枚くらいの用紙に手書きで書くだけです。

実際のビジネスの現場は、パソコンによる英文作成はもちろんのこと、メールやテキスト(携帯電話上でのメール)、さらには広告やチラシも英文で書けなくてはなりません。

こうして考えると、いかに資格試験の勉強と、現場でのビジネス英語とかけ離れているのかがわかることでしょう。

なお、断っておきますが、私はTOEICや英検などの試験問題が悪いとか、ムダだとか言っているのではありません。むしろ、大いに勉強してください。

しかし、それだけでは到底、実際のビジネスの現場やご自身の職業で外国のお客様への対応が難しいですよ、といっているのです。

2.国際ビジネスで「直観」を磨くことの重要性

さきの電話でだまされてしまった社員にしても、ある一定ランク以上の有力大学を卒業し、英語の資格試験でも好成績を残していることでしょう。

しかし、知識があるだけでは国際ビジネスで勝ち残っていくことはできません。

かなり厳しいことを書きますが、世界五大陸で英語が通じ、事実上、英語がビジネスの公用語となった以上、はじめから「できて当然」なのです。

いいかえれば、英語ができても世界のライバルたちと差がつかないのです。

しかし、欧米のビジネスパーソンや企業経営者たちの多くは、直観の重要性を深く認識しています。

また、直観研究でよく知られる現場主義意思決定(Naturalistic Decision Making, NDM)も勉強し、経営にも役立てています。

たとえば、私の学問の師匠である、ゲイリー・クライン博士のツイッターで、NASDAQに勤務する女性エコノミストがNDMを株式市場での判断に応用しているサイトを紹介しています。サイトはこちら

なお、私はそのエコノミストと面識があります。

なぜ彼・彼女らが直観にこだわるかといえば、直観こそが創造性や問題解決の源であることをよくわかっているからです。

その点、日本人ビジネスパーソンや経営者のほぼ全員がNDMや直観のことをよく知りません。

東証上場一部の大企業経営者、新興ベンチャーの経営者や個人事業主などは、AIやクラウドをどのように業務に導入し、作業の効率化を図るか、に大変興味をもっている場合が多いです。

残念ながら、「直観ってなに?NDMってなに?」という感じです。

意外と思うでしょうが、欧米の企業経営者や組織管理者(たとえば軍の司令官)たちは、AIやクラウドなどを絶対的には信用していません。やはり、誤動作や情報の漏えいを危惧しているからです。

こうした認識の違いが、日本(人)のポテンシャルの高さを国際ビジネスの現場で発揮できていないのでは、と思ってしまいます。

また、上記1.と2.から、ビジネス英会話と直観の「特別な関係」もご理解していただけると思います。

今回は、手厳しい内容の記事を書くことになりましたが、今年も残すところわずかです。

仕事と勉強とがんばりましょう!

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